ブックタイトルクムレ60年の歩み

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概要

クムレ60年の歩み

平成11(1999)年に「倉敷学園」の療育を広く発表する「倉敷学園セミナー」が開催され、発達支援クラスの療育が発表された。その時、セミナーに出席していた愛媛県の障がい児施設関係者から「このスタイルでは自閉症の療育にはほど遠い」と指摘された。それをきっかけに、改めて発達支援の療育について研究・研修が行われることになった。3月、指摘をしてくださった愛媛県の障がい児施設に職員を派遣し、1週間泊まり込みで研修を受けた。そこでは当時、先進的な療育方法であった「視覚的構造化」が行なわれていた。そのプログラムを学び、4月には発達支援クラスで実践した。「視覚的構造化」は、目で見る情報を認識しやすいという自閉症の特性を生かした療育の方法の一つであり、自閉症児に「いま何をしたらいいのか」「どのようにしたらいいのか」がひと目で分かるような写真やイラストを活用して、自発的に行動できるように促すものである。また部屋を「遊ぶ部屋」「勉強する部屋」など目的ごとに区切ることで、子どもが混乱することなく利用できるようにしていた。当時、岡山県内で「視覚的構造化」を取り入れている施設はほかになく、「倉敷学園」が地域に先駆けて導入した。自閉症児への療育を実践する中で、発達障がいのある子どもを抱える地域の保護者からも「倉敷学園」を利用したいという声が増えていった。当時、自閉傾向のある子どもは倉敷地域にも多くいたが、「倉敷学園」は知的障がいのある子どもでなければ通園できず、さらに措置制度もあり誰もがすぐに利用できるというものではなかった。知的障がいはないが自閉症が疑われる子どもたちは地域の保育園や幼稚園に通い、健常児とともに生活していたが、発達障がいへの理解も浅く、周囲とうまく馴染むことができない子どもやその保護者は辛い思いをしていたという。そのような地域の声に応えるため、知的障がいをもたない発達障がい児のための療育教室「スキップ教室」を「倉敷学園」内で開始した。週1回の通園で、平日は就学前の幼児、土・日曜は学童を受け入れ療育支援を行った。余暇支援的なサービスとして小規模で行われていたが、地域の反響は大きく毎回利用者はいっぱいであった。法令外の事業であったが、法人の発達支援事業が発展していく礎となった事業であった。「措置」から「契約」に。制度の転換期平成15(2003)年は国の障がい者支援制度が大きく変わる時期となった。4月から「措置制度」が廃止され、障がい者自身が施設を選び利用する「支援費制度」へと移行した。これによって障がい者は自分の意志で利用する施設を選べるようになり、障がい者福祉は「措置」から「契約」の時代へと変遷していった。38